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カエターノ・ヴェローゾ/フェリーニへのオマージュ

カエターノの諸作はいつの時代でもシーンを揺さぶるパワーを持っている。それはこの 97年の未発表ライヴでさえもあてはまる。イタリア語で歌うニノ・ロータの映画音楽や、ペレス・プラードのバラード、普段は歌わないオスカル・カストロ・ネヴィスの初期のナンバー、それらの選曲には一見何の脈略も無いようにに思えるのだが、全てはこのショーの依頼主であるマッダレナ・フェリーニ、そしてオマージュを捧げたフェリーニ夫妻の為に厳選された曲ばかりなのだ。(それでもカエターノは思い付くまま自然に選んだだろうが。)少々難解とも言えるこの作品は聴く人を選ぶマニア向けの作品かも。日本語盤に添付されているカエターノ自らの演奏曲解説はそんな謎を解くヒントであり必読の内容である。
「フィーナ・エスタンパ」と「リーヴロ」のライブに挟まれた、サンマリノ共和国でしか行われなかったこのライブ。開催までの経緯や選曲等非常に興味深いが、特にこのCDで珍しいのはカエターノ本人によるライナー。フェリーニ作品との出合いや、選曲意図を細かく解説をしているのは、本人もこのライブに相当な思い入れがある証拠では?そんな貴重な音源をCDによって追体験出来るのは嬉しいが、やっぱり本物が観たい!
●超映像的アンプラグド・ライブ
時期的には前作にあたる「FINA ESTAMPA AO VIVO」の手法をさらに押し進め 彼の敬愛するフェデリコ・フェリーニとジュリエッタ・マシーナへのオマージュへとまとめあげた傑作だ。ジャキスの絶妙なアレンジとカエターノの繊細な歌心で曲の持つ映像的な側面をあぶりだすマジックが究極の域にまで達している。録音も良し、私の一番好きなカエターノの世界。
もう、どうにでもして。
「粋な男」にしろ、この「フェリーニへのオマージュ」にしろ、お題目は違えどカエターノ自身の音楽体験を背景にしたもの。それが、安っぽい私小説にならず、より広い世界を提示し、聞き手のイマジネーションを刺激する作品に仕上がってしまう。普遍的であるためには徹底して個人的であるべきだと言ったのは誰だったか? まさにここでそれが実証されている。直感の人でありかつ思索の人でもあるカエターノ。選曲もおそらくは思いつくままに選んだのだろうが、そこに仕掛けや謎を見つけようとしてしまうのは、こちらが構え過ぎなのかもしれないが、それがまた快感だったりもする。