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カルテート・ジョビン・モレレンバウム
TEXT BY WILLIE WHOPPER

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早いものでアントニオ・カルロス・ジョビン(以下トム)が亡くなってからもう5年が過ぎようとしている。このグループは彼がが亡くなる直前まで活動を共にしてきたファミリー・バンド「バンダ・ノーヴァ」の凝縮版とも言えるもので、生前彼と活動を共にしてきたメンバーだからこそ、この完璧までなクオリティーで仕上げる事が出来た作品である。
パウロ・ジョビンはトムの生粋の息子で、ヴィオランを担当、70年代から父の作品に参加していた。音楽だけでなく絵の才能も持ち合わせており、トムの作品のジャケットを手がけた事もある(有名な「テーハ・ブラジリス」のジャケットも彼の作)。ダニエルはパウロの息子(すなわちトムの孫)でまだ20代の穏やかな青年だが、その背格好や立ち回りからは由緒ある血を受け継ぐ者としてのオーラを感じる。この2人は昨年小野リサと共演する為来日し、我々を感涙させてくれた。ジャキス・モレレンバウムについては今更ここで言わなくても良いが、ジスモンチ・グループや、カエターノ・バンドに参加し注目された。つい最近も坂本龍一と再共演をする為来日を果たしている。パウラ・モレレンバウムはその名の通りジャキスの妻であり、80年代前半11人編成の「セウ・ヂ・ボカ」で活動、この時ジャキスと出会った。ソロ・アルバムもジャキスのプロデュースのもとでリリースしている。ダニエル以外の3人はバンダ・ノヴァのメンバーとして、1986年にトムと一緒に来日している。この時の模様は映像で記録されているのだが、10年以上経った現在でも彼等の佇まいは不変である。
さて、この作品に収録されてりるレパートリーの殆どがトムが遺したいわゆるボサノヴァの名曲の数々である。30〜40年前に作られた曲が殆どだが、古臭く感じる事など全く無く、むしろ楽曲が最初から備えている魅力をアレンジャーの技量により最大限に発揮させている。決して詰め込み過ぎず、決して手を抜かず。あくまで自然体。100回続けて聴いても飽きる事は無い。安易なカヴァー・ヴァージョンが氾濫するなかで、ここに収められた楽曲はオリジナル・テイクをも超越していると断言できる。「ニュー・スタンダード」。この作品は20世紀の遺産として来世紀に語り継がれるだろう。