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text by 《DINO》

BMG 7432150160-2
もう亡くなってしまった、ネルソン・ゴンサルヴェスの最後のアルバム。出たのが1997年だからもう2年もたつんですが、久しぶりに聴いてたらちょっと紹介したくなったので書いちゃいます。
ネルソン・ゴンサルヴェスといえば、生涯に120枚にも及ぶアルバムを出し、そのどれもが高セールスを記録したと言う、ブラジル大衆音楽を代表する大歌手。日本で言うなら、三波春夫と東海林太郎と村田秀雄と春日八郎と三橋美智也を全部足したくらいのスケールなんだけど、そのキャリアの最後に残したのがこの異色のアルバム。
このアルバムは、彼が新しい世代の曲を取り上げたことで話題になったもの。新しいったって、ボサノヴァが流行った頃でさえすでに大ベテランだったような人だから、ここで取り上げたロック世代なんてひ孫みたいなもんなわけで、ほとんど未知との遭遇みたいな感じでもあるわけです。
「革ジャンなんぞ着るのはおかまだけだ。」なんてインタビューで言い放ってた人が、ジャケットで革ジャン着てウインクしてるってのは、なんだかもうお茶目なおじいちゃん状態で、頑固おやじに何が起ったんでしょうねぇ。何にしても、良くある落ち目の歌手が奇をてらって作るような企画ものとは一緒にしてはいけません。
ロック世代の曲を取り上げたとは言え、ロックバンドをバックにシャウトしてるとか言うことは全然なくて、全編ボレロ調を基本にした、サンバ・カンサォンな世界。もちろんそれに向いた曲をセレクトしたんだろうけど、おじいちゃんの折り目正しい歌い方にさらされて、メロディーの良さが浮き彫りにされてしまう様は、なかなか気持ちの良いものです。
冒頭のルル・サントスの曲では、作者自身がハワイアンギターで参加。思いっきりリゾート気分に浸れます。2は、亡きカズーザの残したボサノヴァ。3は、マリーザ・モンチとアルナルド・アントゥネスの色っぽい曲。4:パララマス・ド・スセソのエリベルチ・ヴィアナの曲、5:レジアォン・ウルバナの曲と続いて、6は、カエターノの「ヴォセ・エ・リンダ」。7は、イタリアのピノ・ダニエルの曲にネルソン・モッタがポル語の歌詞を付けたもの。8はヒタ・リー。9は、エリベルチ・ヴィアナとキッヂ・アベーリャのパウラ・トレールの作った曲。ここではフレジャーがバックでギターを弾き、ミルトン・ゲジスがハーモニカで参加しています。10:ジョアン・ドナート、11:ルイス・メロジアとちょっと古めの曲が続きますが、さすがにこのあたりは、安心して聴けます。最後は、なんとジョアン・ジルベルトもカバーしているロバォンの曲。