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text by尾瀬あの



1962 ATLANTA
観客の歓声で幕が開く。ギターのフレーズに新鮮さを感じつつも、ホーンセクションが飛び出し、ジャヴァンのあの「アーーーイ」という歌声が聴こえてくると途端に、ここにこうしてジャヴァンが帰ってきてくれたことに喜びを感じる。25周年記念ライヴ盤。83年ガル・コスタの為に書き下ろした秀曲「AZUL」の自身による初録音に続いて、彼の作品、名前と顔を結びつけて世に知らしめた「MEU BEM QUERER」の98年バージョン。どうしようもないサウダーヂを感じる。96年作収録のヒット曲「NEM UM D IA」、ベターニアによって歌われ、それが彼女のミリオン・セラー作品ともなり、彼の作詞作曲家としての才能が認められるきっかけになった「ALIBI」.....。
このライヴ盤は、98年9月から99年にかけて行なわれた『BICHO SOLTO XIII』ツアー以降の少ない時間を使って、これまでの25年(1stアルバムは76年だが、75年に1st シングルが発売されている。)を代表する曲をジャヴァン本人が選び、自身の手によって新しいアレンジを加え、99年7月、リオのジョアン・カエターノ劇場で行なわれた初めてのライヴで収録された。まさしく初めてのお披露目だったのだが、『BICHO SOLTO XIII』のレコーディング、そのツアーで約1年半共に活動してきたメンバー(オーディションによって選ばれたアンドレ・ヴァスコンセロス、息子マックスを含むベースとギターの若手3人以外は、更に数年来アルバム及びツアーにも参加。)は、ジャヴァンの意向を十分に理解し、それぞれの力量を遺憾なく発揮してジャヴァンを支え、この祝いの宴を盛り上げていく。ジャヴァンも伸び伸びと気持ちよさそうに歌い、ギターを奏で、観客と共に一つ一つ大切に25年の軌跡を辿っていく。弾き語りの「OCEANO」、ギターデュオによる「ACAI」、「FLOR DE LIS」などの日本でもお馴染みのヒット曲では、観客の歓声や歌声に得意のスキャットで答え、1stアルバム発売のきっかけとなった歌謡フェスティバル入賞曲「FATO CONSUMADO」では、トロンボーンとのデュオで小粋な一面を披露。2枚目に入って、19年前に戻ったかのような「FAL TANDO UM PEDACO」のイントロで再び心を捕まれ、アメリカで録音していた頃の寂しい思いを描いたという「ESQUINAS」へと続く。最新ヒット曲「EU TE DEVORO」で一気に時代は現代へ、ファンキー&ブルージーに生まれ変わった「SEDUZIR」、92年作からのヒット曲「SE...」、どん欲にもラップを取り入れた「A CARTA」。最新スタジオアルバムでは、自身はほとんどギターを弾かず歌に徹していたが、今回も全曲でギターを弾いている訳ではないものの、彼のギターのあの独特のカッティングが加わる事で、リズムに心地よい躍動感が与えられていくのが良く判る。92年作収録のスローファンク「BOA NOITE」、そして「SINA」と終盤へ向かって加速し、「PETALA」で今一度郷愁を与えた後、締めくくりは84年のヒット曲「LILAS」。
様々な時代を象徴し、今や代名詞ともいえるヒット曲が詰め込まれた、自身の手による初のライヴ盤。本国ブラジルでは3カ月足らずで60万枚の売り上げを記録、このアルバムを元に現在ブラジル国内で行なわれている記念ツアーも、各地でチケット売り切れ、サンパウロではチケットを買うために5時間も列に並んだという話も聞いた。故郷北東部の香りを持ちつつも、多種多様な音楽の要素を取り入れ、独自の世界を放つジャヴァンの音楽は、25年という区切りを迎え、原点であるギター、歌とともにその魅力を再び世に知らしめているようだ。ジャヴァンにとって思い出深いこの日本でもこの25周年を祝う日が来ますように....