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text by 《DINO》

最近の新譜では、今のところ一番のお気に入りになっている、サンパウロの新人女性シンガー、セウマール。北東部系の音楽を背景に持っているようだけど、地方色を特徴にしているわけではなく、やわらかくて力強くて美しい音楽を作り出している。プロデュースはゼカ・バレイロ。ゼカ以外にイタマール・アスンサォン、シコ・セーザル、ヴァンジ・ミレー等、サンパウロの人脈が参加している曲もある。
冒頭の曲「ヂンヂーニャ」は、そのゼカの曲だけど、切なく郷愁を誘うメロディー、柔らかく包み込むようなサウンドが実に心地よいというか、心洗われるような清々しさ。曲そのものの魅力と澄んだ空気のようなアレンジ、そしてセウマールの優しさと強さを併せ持った唄。今年のベストソングはこれに決めた。
自作以外に、ゼ・ハマーリョ、シコ・セーザルや、シニョーの古いサンバ、ルイス・ゴンザーガの曲など、選曲も面白く、このあたり本人のセンスなのかゼカのセンスなのか...。ゴンザーガの「オリャ・プロ・セウ」は、セウマール自身の多重録音で、まったく違ったイメージの曲に生まれ変わっている。この曲の中にこんな魅力があったなんて、実に新鮮な驚きを感じさせてくれるバージョンが生まれた。
とにかく、アルバム全体に広がる空気感が素晴らしい。透明感と潤いなんて、化粧品の広告のようだけど、まさにそんな感じなのだ。どこまでも広がる地平線と、朝のひんやりと湿った空気。音楽に身を預ける心地よさを再認識させてくれる傑作だと思う。