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text by GACHOPIN「GACHOPIN WONDER MUSIC」
「どんなの聴いてるの?」「好きな音楽は?」などの問いに対して、ブラジル音楽というくくりでしばしば話をしてしまうことはないだろうか。こういう表現はあまり好きではないのだがついつい使ってしまうことがある。例えばスティーヴィー・ワンダーを語る時にアメリカ音楽の、いやましてソウルミュージックのなどという前置きは不要である。この人の作る楽曲のメロディーラインの美しさ、和声の巧みさが醸し出す独自の音楽世界もまさにその領域にあると言ってもよいのではないだろうか?
イヴァン・リンスのブルーノート東京最終公演2月24日(土)のセカンドステージに行ってきた。前回サバス東京での公演から約2年ぶりの来日である。彼の曲が多くのアメリカのアーティスト達によってとりあげられている(彼を食わず嫌いする音楽ファンはこの現象がある意味気に入らないのかもしれない)ことからも想像がつくように、来ているファンの客層は実に幅が広い。コアなブラジル音楽ファンからジャズ・フュージョンはたまた一般ポップスファンまでいろいろのようだ。
さて今回の来日公演は共演者(前座?)としてレイラ・ピニェイロが一緒のステージを踏むというおまけ付きだ。レイラは丁度去年出したばかりのニューアルバム『REENCONTRO』でイヴァンとゴンザギーニャーの楽曲のみを録音したニューアルバムを発表したばかり。タイミングとしてはすごく絶妙であった。
バンドメンバーは前回の来日でも一緒だった名手テオ・リマ(ドラム)やマルコ・ブリート(キーボード)の他にE・ギター、A・ギター、ベース、パーカッションの6人。スタートは彼らとレイラがまずステージに登場し、イヴァン抜きでトム・ジョビンの曲を中心としたボサノーヴァの名曲をメドレーなどで数曲じっくり聴かせてくれた。レイラのニューアルバムの曲を中心に演るのではと思って予習をしてきた自分にはちょっと意外な展開だったが、しかし歌唱力はさすがのレイラ姐御という感じであった。
そしていよいよ御大イヴァンが登場し、観客の反応も否が応でも盛り上がる中でレイラとのデュエットでジョビンの名曲“Dindi”を披露。ここでボサノーヴァによる序幕が完結しレイラが去りイヴァンのステージが始まる。
トリビュートアルバムでスティングが歌った“SHE WALKS THIS EARTH(Soborena Rosa)”でスタート。スティングのこもった声質と対照的な明るく張りのあるイヴァンの声が曲の雰囲気をガラリと変えていた。そのあと最新アルバム『A COR DO POR-DO-SOL』からの曲とおなじみの昔の曲など数曲を披露。特にストリングスとイヴァンの雄叫びが交差し美しく幻想的な世界を聴かせてくれた最新アルバムからの“NADA SEM VOCE”は秀逸の演奏だった。
そして後半の締めはサンバメドレー。最新アルバムに収められた会心のサンバ曲“EMOLDURADA”をピアノの弾き語りで歌いだし、同アルバムから“NA AREIA, NA BEIRA DO MAR”そしてカエターノの“サンバがサンバであった時から”そして誰でも知ってる“TRISTEZA”へとサンバ攻撃で盛り上がっていく。イヴァンは珍しくキーボードから離れタンボリンを叩きまくる場面も見られサンバへの想いの強さも感じられたステージであった(それもそのはず今年はサンバ曲だけのアルバムを出す構想があるらしい)。
最終日とあってゲスト参加などの特別編を見れるのではという期待もあったが、残念ながらそのようなオプションはなかったものの心地よい余韻の残るライヴであった。私自身イヴァンのライヴは、11年前の人見記念講堂、2年前のサバス東京に続いて3度目だったが、まとまりもよく等身大のイヴァンを聴かせてくれたという意味で今回が一番良かったと思っている。
終了後に楽屋を訪問する機会に恵まれ、初めて間近で対面し握手と写真撮影に気軽に応じてくれたイヴァンその人は本当に気さくで素晴らしい人物だった。すでに齢50を超えているとはいえ今後もエネルギッシュに素晴らしい曲を作り続けてくれるのではないだろうか。
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