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text by 《DINO》
こういう演奏はだんだんと聴けなくなるんだろうなぁ。公演終了後の幸せな気分と裏腹にそんな寂しさも少し感じた週末の夜。古きよき時代のショーロの魅力を今に伝えるベテランショーロバンド「エポカ・ヂ・オウロ」の初来日公演は、東京国際フォーラムのCホールで2日に渡って行われた。こんな地味な音楽で1500人クラスのホールで2日の公演が果たして埋まるのか? 実際当日券で随分前の方の席に座れたりもしたわけですが、開演直前には会場はまずまずの埋まり具合。地球の裏側からやって来たヴェーリャ・グァルダたちに寂しい思いをさせなくてまずは一安心。日本各地から集まったブラジル音楽ファンがロビーで挨拶を交わしている様子も微笑ましく、会場は暖かい雰囲気に包まれて....。
コンジュント・エポカ・ヂ・オウロのメンバーは、最年長で最後のオリジナルメンバー、セザール・ファリア(1924)。パンデイロの名手、ジョルジーニョ・ド・パンデイロ(1930)。現在最高のバンドリン奏者、ジョエル・ド・ナシメント(1937)。7弦ギターのトニ、カバキーニョのジョルジ・フィーリョ。これに今回は、、管楽器のマリオ・セヴィ、パンデイロのセルシーニョ、ヴォーカルのマルシアが加わっている。(ちなみにジョルジ・フィーリョとセルシーニョはジョルジーニョの息子)
前半は、バンドだけでジャコーやピシンギーニャの曲を中心に、休憩後ゲストのショーロクラブの演奏をはさんで、ヴォーカルのマルシアを入れて歌もの中心のステージ。もう70を過ぎたジョルジーニョのパンデイロは、地味になりがちなショーロの演奏を活気溢れたものにし、会場中を心地よいリズムでいっぱいにしてくれた。スザーノ風パンデイロしか聴いたことの無い人には、逆に新鮮だったんじゃないだろうか。息子のセルシーニョとの掛け合いも気合い充分。最年長のセザール・ファリアは、やっぱり年のせいか途中ハラハラさせる場面も合ったけど、もう存在だけで充分堪能させてくれた。自分のバンド「ノ・エン・ピンゴ・ダグア」では、新しい感覚のインストゥルメンタルミュージックを追及しているマリオ・セヴィも実に渋く決めていたし、ジョエル・ナシメントも若い頃とは違う落ち着いた名人芸を聴かせてくれた。
ヴォーカルのマルシアは、ちょっと歌い方が下世話な感じでカリニョーゾのようなしっとりした曲ではちょっと物足りない感じ。逆にコミカルな曲では、その下世話な感じがうまく出ていた。アンコールも含めて2曲、セルシーニョと掛け合いのデュエットを聞かせてくれたが、これがいかにもカリオカって感じでなかなかの聞き物。最近のショーロは演奏主体で、どんどん洗練されていく傾向にあって、こういった下世話な歌ものはめったに聴くことができない。今回の演奏曲の中でも貴重な掘り出し物と言える。もともと、街の大衆音楽として生まれたショーロの下世話な面を見られたのも、この長寿ショーロバンドならでは。
決して完璧ではなく、空前絶後でもなく、前代未聞でもなく、そんなこととはなんの関係もなく実に素晴らしい演奏だった。もう何十年も同じように奏でてきた人たちが、今日もまた同じように演奏している。ただそれだけのことがいかに素晴らしいことか、あの場所にいた誰もが感じたんじゃないだろうか。
Conjunto Epoca de Ouro
Choro Club
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